恋に落ちるなら君がいい
「残業でもしてたの?」
家に帰ると珍しく機嫌の悪い楓社長が私を出迎えた。
夕飯の支度を済ませてから野嶋君と会っていたんだ
出来上がってる食事を見れば私が残業していたかどうかくらい分かるはず。
分かるのに聞いてくるということは
わざと、聞いているのだ。
それを干渉というのではないかと、少し面白くない気分で私は彼の話しを聞いていた。
「友人と会っていました。」
「そう?そうなんだ?」
「何か用事がありましたか?」
「うん。ブライダルの件でね。次の日曜日に式場に行こうと思ってる。」と、そっぽを向きながら淡々と報告をしてくる。
それを伝えたかったのに私がいなかったから機嫌が悪かったのかな…?
「分かりました。」
いつものように笑ってみせても、彼の機嫌は治らない。
一体、私にどうしろと言うのだろうか…。