恋に落ちるなら君がいい


「今度君に紹介したい友人がいるから会って欲しい。


友人の前で恥をかかないように夫婦としての仲を少しだけ練習することにする。」

「…分かりました。」


そう

籍を入れたのだから、そんな風に楓社長の妻として、誰かに会わなきゃいけない事は、これから先、当たり前のようにそういう機会が増えるだろう。


その時にお互いの事を知らなさすぎては仲の良い演技にも限界があると、楓社長は考えたんだろう。


「分かりました。じゃあ、少しずつお互いの事を知らなきゃだめですね」

そう返すと

ようやく、私の方に視線を向けた彼の表情はいつの間にか柔らかくなっていた。



夫婦として何を知っておく必要があるのか…



まずはそこからだ。


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