恋に落ちるなら君がいい





えっ?




まさか彼がそんな質問を投げかけてくるなんて思いもしなかったから…


驚いた。


私達は夫婦だけど、愛し合って結婚したわけでもなければ


お互いの名前すら知らずに結婚をしたんだ。


言わば他人なのだから

相手にそういう相手がいる可能性だってないわけじゃないことも


彼だって理解していてとうぜんだったはずなのに…


左手の薬指にはめられた指輪に一瞬、重みを感じた。


外見上は仲の良い夫婦。を装う。

けど蓋を開ければただの他人だ。


私達がただの同居人だということが分かっているのに…


なんとなく


そういう話しはし辛い。


「どうして…そんな事を聞くんですか?」

笑う余裕もなく、俯きがちに聞いた私に


「それくらいは知る権利があってもいいかと思った。」と

彼はただ、真っ直ぐに私を見た。



< 66 / 308 >

この作品をシェア

pagetop