恋に落ちるなら君がいい
「なんだ。違うのか。
でも、俺も結婚したばかりなんだ。
今度うちのも紹介するから楓さんの奥さんも紹介してよ?」
「ああ…。愚妻で失礼のないように家内には注意しておく。
こちらこそ、よろしく。」
そう言い、2人に軽く頭を下げてその場を去った。
彼女を…紹介か。
結婚したからには彼女を連れて挨拶回りにも行かなくてはならないと思っていたが…。
きっと彼女はいつものように微笑んで分かりました。と言うに違いないだろう…。
でも…
「慧」
間違えて名前を呼んだあの声が耳から離れない。
彼女にはきっと…
好きな奴がいるんだと思う。
それを思い出すたびに不愉快な気持ちになる。
俺を見て欲しいわけじゃないさ。
でも
彼女は俺の妻なんだ。
形だけの妻でも
彼女は
俺の妻。
だから
面白くないんだ。