恋に落ちるなら君がいい


「式には誰か…呼ぶのか?」


「前にも話しましたが、私には呼ぶような相手はいません」


微笑みながら言う彼女に不思議を感じる。


友達は?

親戚は?

家族は?


俺は両親共に亡くなっていて父が生きている間に身内の付き合いがなかったから…

身内と呼べるものがいるのかどうかさえ知らないが…


彼女もまた、俺と似たような境遇なのだろうか…?



配偶者である以上、知る権利はありそうだが、彼女から伝えてこないところをみると聞いて良いのかさえ分からない。


すると、俺の顔を不思議そうに見つめていた彼女がふっと笑う。


「私の事は本当に気遣いしていただかなくて大丈夫ですよ。

楓社長にとって、良い式をあげることができるなら。」

「そうか…?

ありがとう。」


「それよりも、今度私は楓社長の友人と会うんですよね?


どんな服を着ればいいのか分からなくて…」

「ああ、そうだな。じゃあこれから買いに行くか。」



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