恋に落ちるなら君がいい


「あのっ…

社長が自ら広告部に…どうなさいました?」


課長も知らない突然の訪問だったのだろう。


広告部のみんなが社長に視線をむけた。




「いや、俺はそう」

そう言った楓社長が周りを見渡すと、視線の合った私を見て


優しく笑った。



「婚約者を迎えに来たんだ。」


その言葉に

絶叫にも似た悲鳴が一瞬で部屋中にひびきわたると


覗き混んでいたそれぞれの課の課長達も悲鳴をあげた。



「澪さん?だよね?

約束通り、迎えに来ました。」


綺麗な立ち姿。


真っ直ぐに私を見つめるその瞳。



ほら

ジェイソンでも妖怪でも幽霊でも化け物でもない。


彼は


紳士な

一人の人間。



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