恋に落ちるなら君がいい
「…大丈夫?」
声が聞こえて
振り返るとそこには
きまずそうな表情をした慧が俯き加減に立っていて
私は慌てて涙を拭って明るい声を取り繕った。
「ふ、2人は?」
「お店のワインを見せてもらってる。俺は…ワインには興味ないから…。」
「そ、そう…。私の方に来たら変に思われちゃうよ?」
「…うん。」
消え入りそうな声で頷いた慧は
私に自分のハンカチを渡すと
すぐに店へ引き返した。
その態度が辛いのに…。
ハンカチを見つめると
その端に書かれた数字を見つけて
涙が止まった。
これは…
携帯の番号だ…。