恋に落ちるなら君がいい
2人を見送り店を出てから2人きりになっても
楓社長はさっきの私の態度を責めることも問うこともせずに
何も言わずに静かに側にいてくれたけど
家に帰るなり私は
申し訳ない気持ちでいっぱいになって
深く頭を下げた。
「すみませんっ。
すみませんでした…。」
「気にすることない。」
社長は微笑みながら言ってくれたけど
そんな優しい態度をとってもらう資格なんか私にはない。
それは私が1番よく分かってる。
下げた頭を上げられずにいると
楓社長が静かに私の前に座り込んだ。
「そんなに謝らなきゃいけない理由なんかないだろ…?
あの場に戻ってきてくれだ。それで充分じゃないか。」
優しすぎる楓社長の態度に涙が一つ。
また一つとこぼれ落ちる。