恋に落ちるなら君がいい
ただ
この感情が正しいのか正しくないのかまでは判断できない。
「澪…?」
やっと声を振り絞った時
彼女は失っていた呼吸を取り戻すように肩で息をし、俯いた。
「楓社長…私はあなたの気持ちが分からなくなりました。
だって私達は…
干渉し合わない。
求めない。
そんな意見の一致で一緒になったはずでしょう?」
刃のような言葉が突き刺さる。
「一緒にいたいからなんて…
本当の夫婦みたいなこと…
言わないで下さい。」
立ち上がり
部屋へと逃げていく彼女を目で追う余裕もない。
ただ
引き裂かれそうなほどの胸の痛みだけが
苦味と一緒に取り残された。