セピア‐ため息の行方
  だが親孝行をする前にこんなにも辛い思いを母に味合わせる事になるとは。なんて自分は親不孝者なのだろうかと峻甫は今更ながらに自分の不甲斐無さを恥じた。この事を知ったらきっと田舎の母はものすごく悲しむだろう。


  だが仕方がない。大人として事実は事実としてキチンと受け止めるしかないのだ。逃げる事など絶対に許されるはずもないし、又起こしてしまった事故そのものはもはや消す事など絶対に出来はしないのだから。


  と、この時峻甫は被害者の女性の命に別常はないと知った安堵感からか?再び急激な睡魔に襲われ、その場で椅子から崩れ折れ床に倒れ込んでしまった。


  すると
「おい君、つ・壷田君ど・どうしたんだ?!」 
  と言ってその若い刑事は慌てて峻甫を抱き起した。だが全く反応がない峻甫にその若い刑事は驚いてすぐさま急救車を手配して峻甫を病院へと搬送した。
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