セピア‐ため息の行方
  この時峻甫は『そうか。僕は倉橋さんを車で轢いた後自分の意思とはうらはらな形で、蛍子さんが言う僕のガイドスピリットとやらの仕業で、この不思議な世界に迷い込んで来たって事なんだ……』と思い複雑な気持ちになった。


「まあ、生徒が男性1人と女性が2人に対し先生が美女2人のハーレム状態だから、壺田さんにとってはウハウハものかもね?」
  と言って蛍子はさも可笑しそうに笑った。


「ハ・ハーレム状態って……?」
  と言うと峻甫は蛍子のその言葉を聞き驚きと戸惑いで目を真ん丸くした。だが確かに『生徒が僕1人で倉橋さんと蛍子さんの姪の雛子さんとそれから先生が李さんと蛍子さんの2人』だから、蛍子さんの言う事は的を得ていたので、この時の峻甫はただ笑うしかなかった。
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