セピア‐ため息の行方
「まあまご丁寧にありがとうございます。では遠慮なく頂戴致します」
  と言って花梨の母親はそれを受け取った。


  そしてそれを花梨の枕元の横にある小さなテーブルに置くと折り畳みの椅子に腰掛けるように二人に勧めた。


「ありがとうございます」
  と言って二人が揃って腰をおろしその椅子に座ると、早苗と桃香が座った位置に丁度酸素マスクをした、花梨の顔があった。


  それを見て早苗は思わず
「か・花梨ちゃん……」
  と言って絶句した。
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