セピア‐ため息の行方

　　たちまちのうちに花梨は目を見開き李の顔を凝視して、思わず『う・嘘！』と短く心の中で小さく叫んだ。だって李は既にこの世にはいない。だからこうして李に会えるなんて事は決して、有り得ないのだ。それなのに……。


「えっ？！嘘。あ・あなたはもしかして李さんですか？！」
　　と花梨は驚きのあまりそう大きな声で叫んだ。


　　すると
「そうよ。私は泰造（たいぞう）さんの奥さんの李よ」
　　とその女性は花梨の顔をやさしく見つめて言った。


「はあ？泰造さんって私の曾おじいちゃん？ですよね。そしてあなたはその曾おじいちゃんの奥さんの李さんなのですよね？それは解かるのですけれど今こうして李さんに会えるなんて普通じゃ在りえないでしょう？？？」


　この時花梨は今自分の目の前で起きている出来事が把握出来ずに困惑した。