セピア‐ため息の行方
「はい。奥さまの場合癌が肺や肝臓など、膵臓から遠い位置にある臓器にまで転移している『ステージIVBレベル』の状態です。だからおそらく長くて余命半年か早くて三ヶ月くらいでしょう」


「えっ?!よ・余命が三ヶ月から半年?……なんですか?……」
  と言った内海の顔は驚きのあまり蒼白になった……。


「では僕はあえて奥さまには癌告知しませんから、ご主人の意思で奥さまに告知するかをお決めになって下さい。ではお大事に」
  と言うと星空の主治医は椅子から立ち上がり、院内の処置屋にある応接室を後にした。
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