セピア‐ため息の行方
  癌告知があって数日たったある日の夕食時に仕事が休みだった内海は、星空が夕食を食べるのを静かに見守っていた。


「あっ!あなたもお腹が空いているんじゃない?ねえ、これ食べてみる?美味しいよ」
  と星空は自分が食べていたおかずを、お箸で摘(つ)まんで内海の口の中に入れた。


  すると
「おっ!サンキュー!」
  と言って内海はそれを口の中でモグモグ食べ始めた。


「どう?美味しい?!」
  と言って星空が聞くと
< 164 / 291 >

この作品をシェア

pagetop