セピア‐ため息の行方
  だが幸い星空の家は僕が電車を利用していた駅の近くだったから、僕は会社帰りに立ち止まってこっそりと彼女の部屋を見上げていた事もあった。


  まあこうして次々と想い出される一連の出来事は、多分あの頃の僕の星空に対する想いの方が強かったが為のものなのだろう。


  が、しかし正直に言うとあの頃の僕は不謹慎きわまりない事だけど、君が早く旦那さんと仲が悪くなって離婚しちゃえば良いのに!ってずっとそう思ってたんだ。


  だってさ、あの頃回りの連中は僕の星空に対する思いに気づいていた見たいで、何かと好奇な目で見るようになってたし。
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