セピア‐ため息の行方
  その恭の言葉に
「あら?元はと言えば私が既婚者で年齢が恭よりも一回り以上も上なのに、私の事を好きになったのは君の方が先よ」
  と星空は少し意地悪っぽく言った。


「うん。否定出来ないのが辛いトコだね」
  と恭は言うと星空を改めて力いっぱい強く抱き寄せた。


「あのね。ちなみに私は膵臓癌で死んで此方に来たけど、恭はまだ正式に死んで此方に来た訳ではないの。まあ、恭の場合は私が無理やり此方に連れて来た感じかな?」


「えっ?!そ・そうなの?って言うか僕は長い間望んでいた事が叶って、大満足だけどね。って言うか星空との初体験も気持ち良かったし。なんてね」
  と言うと恭はちょこんと首をすぼめた。
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