セピア‐ため息の行方

　　その時たちまちのうちに花梨の両腕にはサアーっと鳥肌が立ち、やがてゾクっとした悪寒が背筋を走りぬけた。


「えっ？！って事は私死んだの？！っていつ何処で？」
　　と花梨は暫（しば）し驚きで固まってしまった。


「なあ～んてね。花梨ちゃんは今朝、交通事故に遭（あ）ってこの現実と死後の間のスピリチァルの世界に迷い込んで来たのよ。でもってあなたの守護霊の一人であるこの私の元へと辿り着いて来たって訳」


　　そう言われて花梨は少しずつ思い出した。そうなのだ。花梨は確かにいつものように朝家を出て会社に向かっていた。