セピア‐ため息の行方

「確かにこの世の中には星の数ほど不幸な人がいるわ。でもその人達を全部救おうなんて事は無理よね。一人一人にそれぞれいるガイドスピリットにしたって、それは多分手に余る事だと思うの。自分が幸せに出来る人の数と幸せに出来る度合いとかも自然と限られてくると思うし。それに私はまだ１７年ぽっちしか生きていないからまだまだ可能性だけは人一倍ある訳だし努力すればしただけ、又は勉強をしたらした分だけの脳力が自然と身につくと思う訳。


　　この世界に来て私は今迄色々な事が解った気がしてるの。でもまあ今は知識ばっかりだから頭でっかちって言う気もしなくもないんだけれどもね。でもある意味私の死後の職業がスピリチァルのカウンセラーだと解っているって事はまあ安心に繋がるよね。これで現世に還たら思う存分生きられるってそんな気もするから、今迄以上に私はがんばれる気がするし、私の場合は此処に来れて本当に良かったって心からそう思ってるの」
　　と雛子は皆に言って聞かせた。


　　雛子とこうして一緒にスピリチァルな事を学び始めてまだ日が浅いのだが、学ぶ内容が実に濃いせいか、こうした講義を通すと自然と雛子の内面を垣間見る事が多い為、この頃になると大体雛子がどう言う人なのかと言う事が以前よりか更に鮮明に掴（つか）めてきた。


　　まず雛子は第一印象で感じたよりかはだいぶ内面はナイーブである事、そして人一倍好奇心が旺盛で結構弱い立場の人に限りなくやさしい性格なのだと言う事が解ってきたのだ。つまり雛子は頗（すこぶ）る性格が良いのである。これなら自分と上手くやっていけると花梨は益々思った。強（あなが）ち李が雛子と花梨を引き合わせた事は間違いではなかったのだな。と、この時に花梨は素直に思えた。