セピア‐ため息の行方

　　そして顔をふっとあげて柵の内側を見た花梨は思わず感嘆の声をあげた。


「うっわあー綺麗ねー！これってもしかして水仙畑なの？ねえ雛子ちゃん」
　　と花梨が雛子に聞くと


「そうよ。この時期になるとこのあたり一帯は出荷用の水仙が栽培されるの。ちなみにこれは八重咲きのレプリートと言う品種の水仙よ。ねえこの水仙て珍しいでしょう？良く見て観て！ほら、花弁の回りの色がやや濃い目のピンク色をしているのよ。余程植物に詳しい人でないと解からないんじゃないのかな」
　　と雛子が説明すると


「キ・キレイ！見事に満開だね。って言うか、水仙ってこんなにも色々な種類があったのね」
　　と愛が関心しながら言った。


「おー！男の僕でさえ感動する程の規模の水仙畑だね」
　　と恭は驚きで目を真ん丸くした。