セピア‐ため息の行方

「此処は東西南北の方向でガラリと風景が変わるのね。とってもびっくりしたわ。ちなみに蛍子さん家（ち）に行く時とはまた違ったお花の種類が植えられているし、こんなにも綺麗で珍しい種類の球根畑があるなんて私全然想像もしてなかったから」
　　とそう花梨が言うと早速柵に座った。


「そうね。花梨さんはこっちに来てまだ日が浅いからここいら辺の事がまだ良く解からないものね。まあそのうち私が色々な所に皆を案内して連れて行ってあげるわ。そしたら皆さんも此方の世界がもっと居心地が良い所だって事に気づくと思う」
　　と雛子は言って前方の夕焼けを見つめた。


　　そして気づけばいつの間にか花梨に続いて愛とそれから峻甫に恭の三人も柵の上に座って、沈み行く夕日と球根畑の絶妙なコラボレーションのキレイな風景をうっとりして仲良く眺めていた……。