セピア‐ため息の行方
  そして次に
「これはね。レーヨン地の一越(ひとこし)ちりめんと言うの。ちりめんと言う生地は花梨ちゃんにも解るわよね?ちなみに一越(ひとこし)と言うのはしぼが細かいと言う事なの。つまりは織物の表面に表れた細かい凹凸(おうとつ)の皺(しわ)がとても細かい生地と言う事ね。それにこの菊と梅の花の柄がとっても斬新(ざんしん)な感じがするでしょ。しかもこの紫地がまた渋いし良い感じゃない?でも花梨ちゃんにはこの柄は地味な気がするかな?」
  とやさしく目を細め、そして微笑みながら李は言った。


  そして更にピンク地の着物を手に取って
「これはね、木綿素材のうるわしつばきと言う名前の柄なの。うるわしつばきと言うのは縁起物の柄よ。ドビー織りと言って表面がとてもざらざらしているの」
  と言って説明をしてくれた。


  そう李さんがかいつまんで説明してくれた柄の着物はとても可愛らしい椿の花をモチーフにデザインされた、とってもステキな着物だった。このようにざっと説明をしてくれたそのどれもが渋目の柄やとっても可愛くて美しい柄だった。


「わあーステキ!どれを着ても良いのですか?」
< 31 / 291 >

この作品をシェア

pagetop