セピア‐ため息の行方
尚、李から今聞いた話をかい摘んで分析をしてみたのだが、この世界は身体的欠陥を自由に選べてしかも自分の好みの時代を選ぶ事が出来、そして此処に留まる事も可能なのだと言う。でもって此処へ来た人達の運命はそれぞれの意思に委(ゆだ)ねられていると言う。ちなみに李のそんな一連のあまりにも不思議な話を聞いて、花梨は頭痛の時に感じた背筋がゾクっとするような感覚が再び甦った。
『……では今の私の立場はいったい……?』と花梨はこの時今更ながらに言い知れない大きな不安感に襲われた。
するとその花梨の不安を素早く察知したかのように李が口を開いた。
「さっきも私言ったと思うけれど人間にはその人を守るために何人かの守護霊って言うのが憑(つ)いているの。私は花梨ちゃんに憑(つ)いているその守護霊の一人な訳。でもって今回花梨ちゃんが交通事故に遭(あ)ったって事自体はなんて事のない怪我だったんだけれど、今回花梨ちゃんはとっても心が病んでいたから、このまま元の世界にすんなりと還す訳にはいかなかったの。花梨ちゃんにはこの世界での治療が必要だと思ったから、私自(みずか)ら敢(あ)えてこう言う形を取らせて頂いたの。花梨ちゃんには却(かえ)って迷惑だったかしら?」
と李にそう言われて花梨は少し戸惑ってしまった。
決して迷惑だなんて事はなかった。曾おじいちゃんの奥さんである李に一度も会った事のなかった花梨にとって李に会う事が出来たのはむしろ喜びであり、嘗(かつ)て自分の大好きな曾おじいちゃんが若かりし日に愛した人、そして自分の母親のお母さんを知る事が出来た事はとっても嬉しかった。
だけど今置かれているこの状況の不思議さ。自分と違う立場でこの世界に存在している他の人々の事を聞くと少し戸惑ってしまうのも確かなのだ。いったい此処はどう言うところだと言うのだろうか?李さんのこうした一連の説明だけでは到底理解出来ない感覚が、花梨に絶え間なく押し寄せる。
『……では今の私の立場はいったい……?』と花梨はこの時今更ながらに言い知れない大きな不安感に襲われた。
するとその花梨の不安を素早く察知したかのように李が口を開いた。
「さっきも私言ったと思うけれど人間にはその人を守るために何人かの守護霊って言うのが憑(つ)いているの。私は花梨ちゃんに憑(つ)いているその守護霊の一人な訳。でもって今回花梨ちゃんが交通事故に遭(あ)ったって事自体はなんて事のない怪我だったんだけれど、今回花梨ちゃんはとっても心が病んでいたから、このまま元の世界にすんなりと還す訳にはいかなかったの。花梨ちゃんにはこの世界での治療が必要だと思ったから、私自(みずか)ら敢(あ)えてこう言う形を取らせて頂いたの。花梨ちゃんには却(かえ)って迷惑だったかしら?」
と李にそう言われて花梨は少し戸惑ってしまった。
決して迷惑だなんて事はなかった。曾おじいちゃんの奥さんである李に一度も会った事のなかった花梨にとって李に会う事が出来たのはむしろ喜びであり、嘗(かつ)て自分の大好きな曾おじいちゃんが若かりし日に愛した人、そして自分の母親のお母さんを知る事が出来た事はとっても嬉しかった。
だけど今置かれているこの状況の不思議さ。自分と違う立場でこの世界に存在している他の人々の事を聞くと少し戸惑ってしまうのも確かなのだ。いったい此処はどう言うところだと言うのだろうか?李さんのこうした一連の説明だけでは到底理解出来ない感覚が、花梨に絶え間なく押し寄せる。