セピア‐ため息の行方

　　そう李に言われて花梨は李の視線の先を目で追って見た。なる程李の言う通りだった。確かにその人の片方の耳が透けて見える。なんか花梨は不思議な気分だった。


　　本当に此処はどう言うところだと言うのだろうか？李さんのこうした一連の説明だけでは到底理解出来ない感覚が、花梨に絶え間なく押し寄せる。ならばこうした人達はどう言う経路を辿って此処へ来る事が出来ると言うのだろうか？此処に来られるのは、多分普通の人間では来られないような気がする。つまりは特殊な脳力を持つ者達だけしか来られないのだとしたならばその特殊な脳力とはいったい何なのか？と花梨の頭の中で色々な解きがたい事柄が相反して次々と交錯し合い葛藤を始めていた。


　　そしてそんな花梨の不安な心を払拭（ふっしょく）するかのように李は再び言葉を発っした。
「此処はスピリチァルな世界なの。スピリチァルって言う言葉の意味を花梨ちゃんは知っているかな？」
　と、そう李に聞かれて


「はい。スピリチァルは今、巷で盛んなブームになっているから知っています。魂と魂との触れ合いと言うか、あるいは魂と魂とのなんかこういい知れない崇高な次元での結びつきみたいな……そんな感じでしょう？」
　　と花梨は答えた。