セピア‐ため息の行方
「あっ、でもね死んだ人が誰でもこう言う立場になれるって言うものでもないのよ。その家族の隔世代でたった一人だけが選ばれてそう出来る脳力を授かるの。つまり倉橋家では私と孫のあなたが選ばれているの。泰造さんは言わばその予備軍の一人に過ぎないのよ。純粋な指名者は私とあなただけなの」



「そうなんですか……」


「だから花梨ちゃんの場合はつまりあなたの意思次第でこれからガイドスピリットになれる可能性があるって事なの。あなたはこれから現世に戻る立場でありながらスピリチァルの講義を受けて色々な事を身に付ける事によって、死んでしまっている私とはまた違った意味あいのガイドスピリットになれるのよ」
  そう李が言った。


  そう李に言われて花梨の心は改めて複雑に揺れ動き
「李さんが前にも言って下さっていたように、それがつまりは端的に言うと私は選ばれし者って事になるんだ」
  と花梨はどこか焦点が合わないような目つきでもって遠くを見つめながらポツリと言った。


「そう、その言葉はぴったりだと思うわ。花梨ちゃんあなたは正に選ばれし者なのよ」


   そう花梨は李に言われ再び戸惑った。
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