セピア‐ため息の行方
「そうよ。花梨ちゃんはこれからスピリチュアル学を速攻で体得出来れば、この世界で次に扉が開く10年後を待たなくても現世に帰る事が出来るのよ。この世界は大まかに『幽現界、幽界、霊界、神界』に分かれているの。私達が今いる所は霊界と言う所なの。この世界で更に上の神界へと進む選択肢も私達にはあるのよ」


「……」


「でもそれはとっても難しい上に難関でいくつもクリアしなければならない事があり過ぎるのだけれどね。それでも霊界から神界へと進む人達は数多くいるわ。私にもその資格はあるにはあるんだけれども、まだ私には生きている人達を助けてあげたいと言う強い思いがあるから今もこうしてガイドスピリット=守護霊としての使命を全(まっと)うしているの」
  と、そう李に説明されて花梨は不思議な気持ちのままその説明を聞いていた。まだ花梨の心と体がバラバラのまま空中を彷徨うかの如く浮遊している状態だったので無理もない事だったのだが……。


「さあ、急いでお家に帰りましょうか」
  と李は腕をそっと裏に回して花梨の肩にやさしく手を置くと二人はゆっくりと歩き始めた。遠くでカラスが鳴き始めた。そんな中もうすぐ李と出会ってからの1日目が暮れようとしていた。
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