セピア‐ため息の行方

3‐軌跡

  翌日の朝、花梨は早速スピリチァルの講義を受ける為に李と一緒に外出をする事になった。花梨と同じくこの世界に導かれてスピリチァル学を学んでいる女の子がいて、今日からその子と一緒に花梨は講義を受ける事になったのである。

 
  その子は李さんの親友の蛍子さんの姪にあたる女の子で、花梨よりも9つも年下の17歳だった。ちなみにその子は諸刃(もろは)の刃(やいば)的深い心の闇を心の根底に抱えていた。つまりは簡単に命を粗末にしてしまえるそんな投げやりな心をその女の子は持っていたのである。李さんに聞いた話ではそんな子だから現世の世界つまりは現実の世界でリストカットを度々繰り返しては、こっちの世界と現実の世界を行ったり来たりしているのだと言う。


  昨日の李の話だとこうしてこの世界に来ると言う事は元々その人の守護霊の一人がこちらに呼び寄せているのだと言う事だった。そしてそれらの人達は必ずスピリチァルの脳力を内に秘めた人達であり、そして花梨と同じくこうして自分の持っている力を呼び覚ましてそれを更に磨いて蓄え、でもって生きて生活して行く人達のサポートが出来るまでに高めてから現世に戻り、現世で生きる人々達のさり気ないサポートをしてゆくのが使命なのだと李は詳しく説明をしてくれた。


だからそうしてスピリチュアルを体得出来た場合は即、現世とこの世界を行き来出来る資格が得られるのだけれど、もしもその気がないのならば現世に帰る事が出来るのは、再び扉の開く10年後と言う事になり、その間は自由に過ごせるのだそうだ。但しその場合は、一応この世界のルールを守りながら生きて行き、そしてこの世界で生きて行く術(すべ)は自分で見つけて行かなければならないのだ言う。
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