セピア‐ため息の行方

　又そうではなくスピリチュアルの全てを早くに体得して、この世界と現世とのパイプ役に貢献する方を選んだ場合は、スピリチュアルを体得後にすぐ現世との行き来が出来るし、しかも現世で今迄通りの生き方を持続する事が可能なのだと言う。


　 自分が１７歳の頃には不思議と今漠然と心に抱いている、このどうしょうもない心の空虚さなんて少しも感じなかった。なのに何故か２６歳になった今現在こんなにも良い知れない程の感情が押し寄せてきている。それは例えて言うならばあたかも地球のマグマが地上に現れる寸前のようなそんな感じのドロドロとした思いのようなものだった。


多分その思いが自然に現世で空しい感情となって花梨の心の奥底で形を成して、最近急激に日々少しずつ表に現れ始めていたのかも知れない。だがそれは紛れもなく花梨自身にでさえも気づけない特殊な脳力への誘（いざな）いだったのだ。


　 もかしたら昨日李さんが言っていたように花梨はガイドスピリットの使命を課せられてこの世に生を受けたにも拘らず、それに今迄気づけなかったからこそ、花梨は必然的にトラックに跳（は）ねられて此処へ導き寄せられたのではないか？と花梨はそう心の中で取り留め止めもなく考えてはため息をついた。『う～んでも私ってホントにガイドスピリットに向いているんだろうか……？』と花梨はまだ半ば迷う気持ちとそして好奇心との気持ちが絶えず交錯していた。