セピア‐ため息の行方

「あら？！あ･あなたは……」


　　その女性の反応に半（なか）ばパニック状態で藁（わら）にもすがる思いでいた峻甫は、咄嗟に声を荒げた。


「えっ？！あ･あなたは僕の事をご存知なのですか？」
　　と言うや否や峻甫は驚いて目を見開いた。


「え！ま・まあ……」
　　と李は一言言葉を発してその後の言葉を濁した。


「し･知っているんですね！」
　　と言って峻甫は思わず李の肩を両手で掴み、肩を揺らし始めた。


「キャッー！や・止めて……」
　　と李は咄嗟（とっさ）に悲鳴をあげた。


　　するとキッチンにいた花梨がその悲鳴を聞きつけ慌てて玄関を覘きに来ると、な･なんと若い男性に李が襲われそうになっていたのを見て驚いた。


「あ･あたなたは李さんにな･何をするんですか？警察に連絡しますよ！」
　　と言うと