セピア‐ため息の行方
「えっ!?き・君はく・倉橋花梨さん!?なんで此処にいるの……???」
  と峻甫はあまりの驚きにそう叫んだ。


「ええ。まあ、その……」
  と花梨が言い淀んでいると
 
 
  李は花梨を自分の背後に引き寄せて
「悪いけれど花梨ちゃんキッチンに行ってお鍋の様子を見て来て頂戴!」
  と言うと


「あっ、そうだった!お鍋を火にかけたままだったわ。大変!!!」
  と叫ぶと花梨はハッと我に還り慌ててキッチンへと駆け出した。


  そして李は
「花梨ちゃんにはしばらく何も聞かないでいて欲しいの。時期がきたら私が詳しい
説明をするから。良いわね。お願いしたわよ」
  と小声で言って峻甫に釘を刺した。


「何故ですか?」
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