セピア‐ため息の行方

　　が、瞬時に『僕は君を車で轢いた加害者なんだ』と言う罪の意識が脳裏をかすめ、その事実が峻甫の目の前に重くたちはだかった。


　　それにしても出会いが加害者だなんて僕の人生ってなんて最悪なんだ。って言うかこの世に神さまがいるとしたなら、なんで神さまは僕に対してこんなにも辛い人生を課したのだろうか？と抗議をしたくなったと同時に峻甫の心は思いっきり凹（へこ）んだ。


『ああ、それにしてもこの僕には君を好きになる資格すらないのか？』と峻甫はしばし罪の意識に苛（さいな）まれ、自分が犯した罪を恥じそして憎んだ。


　　だが『ん？！そうか。僕が花梨さんを車で轢いたからこそ、こうして今此処で花梨さんと出会えたのかも？』と思い直し、峻甫は即座に頭をポジティブに切り替えた。