Rain
車で走る事30分、先生のマンションに着いた

先生は鍵を開けると、入るように促してくれる

部屋の中に入ると、私の大好きな先生の匂いが充満していた

「適当に座っててくれ。今、探すから」

先生がそう言うので、手前にあった黒のソファーに腰掛けた

そして部屋の中を見渡す

部屋の中はかなりシンプルで、私が座ってるソファーを含め、殆どの家具が白か黒のモノトーンで統一されている

物の少なさといい、家具の色合いといい、まさに先生の好みや性格が出ている

そういえば、初めて先生に出会った時もモノトーンの服を着てたな…なんて思いながらボンヤリと眺めた

普段だったら、先生の部屋に来たら、もっとテンション上がってるんだろうな

初めて、先生の部屋に来るのが、こんな思いをした後なんて嫌だったよ…

これじゃあ、後で思い返しても、嫌な事しか思い出せない

でも、逆にいうと、こんな思いをしなければ先生の部屋に来る事もなかった

その事を考えると、私は、凄く複雑な気持ちになった

でも、それは仕方がない



だって、私達は所詮、先生と生徒でしかないのだから―――…
< 121 / 324 >

この作品をシェア

pagetop