Rain
着替え終わって、部屋から出た私を見ると、先生は小さく呟いた

「…やっぱり、結構大きかったか…」

私は、そんな先生に対して、さっき借りたコートを差し出しながら言った

「…これ……ありがとうございました…」

そう言って、コートを渡すと、先生は思い出したように小さく「あぁ…」と言った後、コンロでグツグツと音をたてながら沸騰してるお湯を見ながら続けた

「…今、お茶淹れるから……そこに座ってろ…」

そう言って、さっきまで私が座ってたソファーの方を見た

「…すいません…」

「……珈琲かダージリンしかないな……どっちがいい?」

先生は戸棚を見ながら、そう呟いた

「……ダージリンで…」



珈琲かダージリン

先生が珈琲が好きなのは、よく飲んでるのを見るので分かる

でも、先生がダージリンも好きだったのは知らなかった


というか、それだけじゃない

よくよく冷静に考えてみたら、私は他の生徒に比べて、ほんの少しだけ先生と仲が良いというだけで、先生の事なんて殆ど知らない
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