Rain
「でも、本格的に先生の事が好きなんだって気が付いたのは―――
……多分、先生が自分も雨が好きなんだって言ってくれた時だと思います…………
『雨は大好きで、大嫌いだ』って…………『大嫌い』っていうのには引っ掛かったけど………でも私も雨が好きだったから………だから、嬉しかったんです。
雨が好きって言うのを笑わないで聞いてくれたのは先生だけだったし、それどころか先生も雨が好きって言ってくれたから………」

壱成さんは、そう言って小さく笑う私をチラッと見て、苦笑いしながら言った

「えっ?美雨ちゃんも雨好きなの?……マジかよ…そんな所までかぶんのか……大変だなー雪も」

でも、そう言った後、壱成さんは、こっちに向き直り、笑顔で言った

「…でもさー、俺的には美雨ちゃんは、かなりいい線までいってると思うよ」

その言葉の意味が分からなくて、首を傾げた私を見て、壱成さんは続けた

「…実はさー……学生時代、アイツかなりモテてさー…学部の女の子の3人に1人はアイツの事が好きって武勇伝まで持っててさー」

…流石、先生だ

…やっぱり、先生をかっこいいと思った、私の目は間違ってなかった

「ほら、アイツ、特別イケメンって訳じゃねーけど、ファッションセンス良いし、それになんつーか……独特な雰囲気持ってんじゃん?それに惚れる女が多かったみたいでさー」

私は壱成さんの、その言葉に大きく、何度も頷いた
まさに私も、そのうちの一人だ

「まぁ、だから当然、アイツに告ってくる女は山程いたんだけどさ、全部断ってた」

「でも、そんなアイツが、夜、大雨の日に美雨ちゃん見ただけで、あんなパニクってさ、正直びっくりしたよ。
アイツ、基本クールで、あんま感情表に出さないからさ。
なのに昨日、あんなに感情、もろ出しててさ。
あんな雪、俺ですら久々に見たよ。
………元カノの時以来………………だから、今まで雪に告ってきた女の中で、美雨ちゃんが一番可能性があると思う!」

壱成さんがニカッと笑って、そう言い切った時だった
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