Rain
「…美雨ちゃん?」

私は自分を呼ぶ声が聞こえて、慌てて我に返り、目を開けて振り返った

そこには不思議そうな顔をした壱成さんがいる

「…美雨ちゃん?何でこんな所に?」

「壱成さんこそ、どうして!?」

「え?俺はこの近くに住んでるから」

そうか、壱成さんは卒業した後も、前と同じ場所に住んでたのか

「あ、私は……えっとー………その……」

私が慌てて言い訳をしようとすると、壱成さんは小さく笑いながら言った

「…雪が通ってた大学を見に来た?てことは、昨日全部聞いたんだ」

私がそれに対して頷くと、壱成さんは明るく笑って言った

「なら俺が案内してやるよ!美雨ちゃん、高校生だし、よく知らない大学なんか一人で入りずらいしょ?」

確かにその通りだ……

私は本当に何も考えずに来てたので、壱成さんのその申し出は凄くありがたかった
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