Rain
大学までの道を歩きながら私は壱成さんに昨日の話を全部した

そして最後に先生の話を聞いて自分なりに出した結論を言った

「きっと、先生は………美雨さんと付き合ってた時よりも、今から向かう大学に通ってた頃よりも、ずっとずっと強くなったと思います……
……でも、そんな強くなった先生には、きっと私はいらないと思う………」

私は、そう呟いて小さく笑った

でも、そんな私を見ながら壱成さんは不思議そうに言う

「…そうかなぁ?俺はそうは思わねーけど?だってさ、確かに雪はあの頃に比べたら、かなり強くなったと思うよ。
でもさぁ、だったら世の中の強い奴は皆、一人ぼっちで生きてんの?なわけないだろ?…どんなに強いやつだって悩む事もあれば、辛い時だってある。
寂しい時だってあれば、誰かに一緒にいて欲しい時だってあるだろうし、癒しが欲しい時だってあるよ。
だから美雨ちゃんは、その癒しになりゃ良いんじゃねーの?」

壱成さんのその言葉に、私は衝撃を受けた

「…で、でも癒しなんて………私……どうしたら良いか……」


「それは……

ただ単に雪の側で笑ってれば良いんじゃねーの?

少なくとも雪は、それ以上を求めるやつじゃねーよ」



壱成さんがそう言った時、丁度、木々に囲まれた大きな建物が見えてきた


「あ、ほら!あれだよ!俺達の大学!」
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