Rain
喫茶店の中に先生がいた

―――長いストレートヘアの大人しそうな女の人と一緒に―――

「へっ?あ、本当だ!雪じゃーん!…………てか、あれって……麻実…?」

壱成さんのその言葉を聞いて、私は更に驚いた

「…麻実さん?あの人が……?」


―――先生の話にも出てきた

美雨さんの親友で、先生や壱成さんとも仲が良かった

…あの人が……




「あぁ、……でも、あいつら、まだ付き合いあったんだなー……知らなかったよ。
俺ですら麻実とは、殆ど付き合いなかったのに……」

それを聞いて、不安そうにしている私に、壱成さんは慌てて付け足した

「…あ、つっても、麻実は、雪と美雨が付き合い始める前に雪に振られてるから大丈夫だよ!」



…振られてる……

……やっぱり麻実さんは先生の事が好きだったんだ…

………先生の話を聞いた時から、何となく、そんな気がしていた

…昔、振った……?

……でも、だったら何で、今、二人で会っているの?



「雪が、こんな所にいるって事は、雪も大学見に来て、帰りに麻実に会ったって所かな?」

私のその考えを読んだかのように、壱成さんは、また、慌てて言った


でも、私には女の勘で何となく分かる

……麻実さんはまだ先生の事が好きだ…
< 238 / 324 >

この作品をシェア

pagetop