Rain
「美雨!ちょっと手伝って!」

次の日、ベッドでゴロゴロしていると、下からお母さんの声が聞こえてきた

でも、返事をする気にもなれないし、ましてや手伝う気にもなれないので、私は、そのまま布団から出ずにゴロゴロしていた

「美雨!いい加減にしなさい!」

手伝うどころか、返事もしない私にしびれをきらしたのか、お母さんは私の部屋に来て怒鳴る

でも、いつもとは明らかに様子が違う私を見て、心配そうに訪ねてきた

「…美雨?……何かあったの?」

「…何にもないよ。……ただ、今は一人でいたいから……一人でいさせて」

私は、そう言って、心配してくれるお母さんを強引に部屋から追い出した





…せっかく、心配してくれたのに、何て酷い娘なんだろうと思う

………でも、今はとにかく一人になりたかった



…それにお母さんに言える訳がない―――


…お母さん、私ね、大好きな大好きな人にフラれたの……

…それで、元カノに間違われたの……


そんな事を言ったらどうなるか

きっと、お母さんは先生の事、酷いとか、最低だとか悪口を言うと思う―――

でも、私は先生のそんな悪口なんて聞きたくない

確かに酷いかもしれない

でも、私はそれでも先生の事が好きなの―――…


そう思うと、また涙が出てきた
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