Ｒａｉｎ

「…本條、そっちの資料取って」

それなのに、当の本人である先生は、いつものように美術準備室で手伝いをしている時も、学校という事もあるからなのか、相変わらず素っ気ない態度のままだ

全く、こっちの気も知らないで！

私からしたら、麻実さん以外にもライバルが増えて、先生が取られちゃうんじゃないかって、気が気じゃないんだからね！

それなのに、私のそんな気も知らず、淡々と資料整理している先生にムッとして、私は思わず呟いた

「…雪……」

私が、そう呟くと、先生は光の早さでこっちを向き、慌てて言った

「…バッ……お前……学校ではそう呼ぶなって……」

先生の反応に私は、更にムッとして言った

「…だって、学校以外で会えないじゃん！私の気も知らないで！」

「…私の気って……」

先生は頭を掻きながら、困ったように言う

「私からしたら、気が気じゃないんだよ！最近、先生、一部の女子から人気出てきてるし、だから、いつか誰かに取られちゃうんじゃないかって……」

そう言って、拗ねる私を見た先生は、私を優しく抱き締めて、照れくさそうに言った

「……バカ…………俺はお前しか見てねぇっつの……」

そうして、思い立ったように言った

「…そうだ………」