Rain
「だからね、私が雪の事、好きになったのも、お父さんの影響なのかも!私、お父さんの事大好きだったし!」

私が最後にそう言うと、先生はひきつった笑いを浮かべながら言った

「…えっ?俺……お父さん?」

「今日もね、来る前に、お父さんに、雪と付き合う事になった事、今日、雪の家に来る事を報告してきたんだよ!」

「…うわぁー……それ、絶対お父さん怒ってるでしょ。
同業者としても、父親としても……『教師の癖に生徒に手を出すなんて言語道断!』とか言ってさ…」

「大丈夫だよ!お父さん、亡くなる前に「俺はいつだって美雨の味方」って言ってくれたし!それに、ちゃんと話せば分かってくれるよ!だって、お父さんは太陽みたいに明るくて、優しい人だから!」

「…なら、俺も美雨にとって、太陽みたいな存在って事?」

「違うよ!」

「はぁ!?」

鳩が豆鉄砲食らったような顔で、そう言った先生を見ながら、私は更に笑って言った

「雪は、私にとって月みたいな存在だよ!辛い時も、嬉しい時も、悲しい時も、楽しい時も……いつでも何も言わずに、側に居てくれて、優しく私を包んでくれる月みたいな人!」

私がそう言うと、先生は少し考えて言った

「……ふーん………でもさ、月って太陽が無いと輝けないって知ってた?」

「え、うん?」

「俺の太陽は美雨だよ……」

そう言って、先生は優しく私を抱き締めた

そして、優しく、熱いキスをした

瞬間、私の好きな、煙草と珈琲と香水の匂いが私の身体を包み込む

その時、クラスの子達が話してる内容を思い出した

「…雪って、良い匂いするよねー…」

「…そうか?」

「うん、香水、何使ってるの?」

「あぁ、ちょっと待ってて…」

そう言って、私を後ろから抱き締めながら、ソファーの後ろの小物入れに入っている1本の瓶を取り出した
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