Rain
「何やってるんだ!」

後ろから、私の大好きな声が聞こえてきた

野次馬を掻き分けて、私達の所まで来た先生は、口の端から血を流して座り込んでいる私を見て、驚いて駆け寄ってきた

「…本條……!?大丈夫か!?井上、何やってる!」

そう言って、彩を睨み付けた先生にすかさずサヤカが言った

「本條さんが、うちらが坂田さんの傘を盗ったとか、皆の前で訳の分からない嘘言って突っ掛かってきたんですー」

「嘘じゃない!」

私はそう言って、サヤカを睨み付けた

「…何があろうと暴力をふるって良い話にはならないだろう!」

そう言った先生を嘲笑うかのようにサヤカが言った

「…へぇー、やっぱり先生は本條さんの味方なんですね。付き合ってるから」

そう言った途端、クラスは一瞬にして静まり返った

そしてクラスメートの視線は一瞬にして、私と先生に交互に降り注がれる

「ちがっ…」

「てか、生徒に手出すような教師に正論語られたくないんだけど」

慌てて、否定しようとした私を遮ってサヤカは勝ち誇ったように言った

教室は相変わらず静まり返っている

先生も、それを言われると何も言えないようで口ごもってしまった

その時だった
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