Rain
…私が三沢と会ったのは、あの日以来だった

……あれから三沢は学校に来ていなかった




三沢は「…そんな事より……」と呟くと、キッと愛実達の方を睨み付けて言った

「ちょっと聞いてたけど、どう考えても悪いのは傘を盗ったテメーらだろうが………つーか、もし万が一、テメーらが傘を盗ってないにしても相手は丸腰で、しかも一人。
そんな相手をこんだけボコボコにしてるテメーらの言い分を信じろって方が無理があるだろうが!」

クラスで人気者の三沢がそう言った途端、さっきまで私と先生に向いていた視線は、一斉に愛実達の方へと向いた

それに気が付いたサヤカは、珍しく焦った様子で怒鳴った

「見てんじゃねーよ!」

でも、その視線に気が付いた三沢は、今度はクラス全員を睨み付けながら言った

「おめーらもおめーらだよ!
こんだけクラスメートの女子がぶん殴られてるってのに、何で止める奴がいねーんだよ!
女子だって、直接止める事は出来なくても、先生に言いに行くとか出来るだろうが!」

三沢がそう言い放つとクラスメート達はまた、俯いたり、目を反らしたりして静まり返ってしまった

でも、そんなの気にもしないというような様子で、今度は先生を見ながら、言った

「…先生も先生だよ……。
生徒にあんだけ言われて黙ってんなよ………生徒に強く言えなくなるような事すんなよ…………でも、あの時、止めてくれた事……それは感謝してもしきれない………ありがとうございました!」

そう言って、深く深く頭を下げた
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