Rain
「…後、それから、あの時は酷い事言っちゃってすいませんでした!私、ああいうの慣れてなくてパニックになっちゃってて、それで―――…」

「…そういうの良いから」

一生懸命、言い訳をする私を見た先生は、冷めきった目をこちらに向けて言った


その目は昨日と同じ何もかもを見透かしたような目だった―――

私は、そんな彼に返す言葉もなく、ただ表情だけは、まるでそれ以外の表情を知らない人形のように、ひきつった笑顔のまま目の前の彼をただただ見つめていた


そんな私をよそに、先生は続けた





「…そんな事より……何で君は、雨が嫌いじゃないのに嫌いって言ってんだ?」




…きた

…昨日と同じ質問だ


…でも、もう昨日と同じ様なヘマはしない



そう思った私は、笑いながら心の中にある台本通りの台詞を言う

「先生、何言ってるんですかー? 雨なんて好きなわけ無いじゃないですかー!髪ははねるし、メイクは落ちるし、服は濡れるし」






でも先生は、そんな私をじっと見つめると求めていた答えじゃなかったのが気に入らなかったのか、ぶっきらぼうに「…そうか」と言った後、また机の上のパソコンに向かった
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