Rain
私は、そんな先生を見て、少しカチンときて小さく呟いた

「……先生だって」









でも、先生は、そんな私の呟きを逃さす聞いており、素早く反応した

「僕が何だって?」






まさか反応が返ってくるとは思わなかった上に、聞こえてすらいないと思っていた私は慌てて必死に言葉を選んで話す

「あ、いや…大したことじゃないんですけど……えっと…クラスの子達が雪平先生って、もっと着飾ったり眼鏡とったりしたらイケメンなのにって言ってて……、でも先生プライベートでは、めちゃめちゃお洒落だし、眼鏡もしてないじゃないですか?
だから、それを学校でもやったら、めちゃめちゃモテるだろうに勿体無いなぁ………て思って…」




確かに、私が初めて会ったときは先生は眼鏡をしてなかったし、ファッションセンスもかなり良かったし、髪もきちんと整えられていた

でも今の先生は眼鏡をしてるし、白衣だし、髪もボサボサで、彼特有のあの独特な雰囲気が無かったら、私だって昨日の人と同一人物なんて分からなかった

だから、昨日の様な格好で来れば、クラスの子達にも、あんなに気持ち悪がられる事は無いだろうし、むしろ「カッコイイ」なんてキャーキャー言い出す連中も出てくるかもしれない

…昨日、私が彼にドキドキしたように―――


だから、凄く勿体無いと思ったのだ
< 41 / 324 >

この作品をシェア

pagetop