Ｒａｉｎ

「ねぇ、何で私の名前知ってんの？」

さっきから考えてみたが私の知り合いの中にはこんな独特な雰囲気を持った人は間違いなくいない
いたら、すぐに思い出すはずだ




青年はその言葉を聞いて一瞬、驚いたようにこちらを見て「あんたも美雨っていうのか！？」と言った

だが、またすぐに下を向いて「…別に……偶然、美雨って名前が出てきただけだ」と答えた


私はその答えに一抹の疑問は感じたものの、たった今、知り合ったばかりの、しかも、これ以降の人生で恐らく、１度も会関わる事はないであろう青年に、相手が答えたがらない事をわざわざ問い掛ける気にもならず、
「…そう」とだけ返事をした