Rain
「で、最近はどうなんだよ?」

僕は壱成のその質問の意味が分からなくて「えっ?」と聞き返した

すると壱成は、呆れたような顔をして言う

「バッ、お前、どうなんだって言ったら、普通あれとか、あれだよ!仕事とか、女とか女とか女だよ!」

そう答えた壱成に対して、今度は苦笑しつつ答えた

「…仕事は、今までと対して変わんねーよ。場所が変わったとはいえ、やる仕事は、殆ど同じなんだから」

「で、女は?彼女とか出来たのか?」

興味津々で、そう聞いてくる壱成に、僕は更に苦笑しながら答えた

「そんなもんいねーよ」

僕がそう答えると壱成は、それでもニヤニヤしながら問い詰めてくる

「でも、相変わらずモテんだろー?」

それを聞いて、僕は思わず笑ってしまった

「全然モテねーよ。ていうか、今の学校でなんて女子生徒達からは気持ち悪がられてるからな」

それを聞いた壱成は驚いたように言ってくる

「嘘だろ!?大学時代、女、百人斬りだったお前が!?学部の女の子の3人に1人はお前にコクったって伝説を持つお前が!?」

それを聞いて僕は笑いながら答える

「100人も斬ってねーよ。人を遊び人みたいに言うな。
……まぁ、何はともあれ過去の栄光だったって事だよな。
俺のモテ期は終わったんだよ」

それを聞いて、壱成はジトーとした目で僕を見ながら言った

「どうせ、お前、女に興味ないからって髪ボサボサに眼鏡で白衣とか着て、学校行ってんだろー?」


…流石、約10年の付き合いになる親友なだけはある

まるで見ていたかのようだ



僕は、そんな壱成の言葉に小さく笑う


でも、壱成は気に入らないようで「あ゛ぁー!」と言いながら自分の髪をボサボサになるまで掻いている

そして言った


「ったくー!ちゃんとしてたらお前、普通にモテんだよ!
お前の場合、顔は別に普通なのに無駄に雰囲気がイケメンなんだよ!
しかも、やたらファッションセンスも良いし!
大学時代なんか俺に近付いてくる女のうち9割はお前狙いだったからな!
お前なんて、女に冷たかったのに!
俺の方が女に優しかったのに!
でも、お前が女に冷たくすると、あのクールさが雪くんの魅力とか言って、やっぱモテんだよ!
だから、お前、早く彼女作れ!
そもそも、お前みたいなイケメンにそんな何年も彼女いねーなんて、お前以外のモテない男共に対しても、お前に変な期待持っちまう女共に対しても犯罪だからな!」

そう言って、息を切らして肩でハアハア息する壱成に僕は小さく笑いながら言った










「なんだよ、それ。俺は彼女作る気はねーよ。これから、ずっとな。
…てか作っちゃいけねーだろ」
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