Ｒａｉｎ

そう言って、頭を抱えた僕を見た壱成は、そんな僕を見ていられなくなったのか、哀しそうな笑顔を浮かべて言った

「まぁ、でもさ、どっちが悪いにしても、もう時効じゃねーか？もう５年も経ってるんだぜ？現にあれから、お前は１度も彼女作ってねーんだしさ。
それでいいじゃん。
もし、今の状況をあの世から美雨が見てたら、こう言うと思うぜ？『何、いつまでもショゲてんのよ！バーカ！』って」

その台詞を聞いて、僕は思わず笑ってしまった
確かに美雨が生きてたら言いそうだ
手に取るように想像できる


そんな僕を見た壱成はホッとしたようで、こう付け加えた

「だからさ、まぁ、いい奴いないのに無理に彼女作ったり、美雨の事忘れたりしろとは言わねーけどさ。
でも、もし、お前が気になる奴が出来たり、美雨を忘れられないっていうお前の気持ちを受け入れてくれる奴が現れたら大切にした方が良いと思うぜ、俺はさ」

壱成は、そう言った後、いたずらな顔をして笑った―――

それに釣られて、僕も小さく笑った