不良様と生徒会長様!
「…良太、帰るぞ!」
「ちょっ、姉ちゃん!」
姉ちゃんは、急いでその場を立ち去ろうと俺の腕を引いて歩き出す。
「律!何で逃げるわけ!?」
新兄の問いに立ち止まる姉ちゃん。姉ちゃんは、何も言わず俯いている。
「その格好…、喧嘩し始めたの?」
「お前に関係ない!!」
突然の大声にビクッと反応する俺たち。我に返ったのか、しまったという顔をしてまた俯いた。その場が静かになり、車のエンジンの音しか聞こえない。
「…何隠してるわけ。そんなに話せないことしてるの?」
「新兄、これにはワケがあって…!!」
「良太!!行くぞ!!」
言い終わる前に姉ちゃんが俺の腕を引いて歩きだした。呼び止める新兄と真司の声を無視して逃げるように歩く姉ちゃん。
その姉ちゃんの顔は見えなかったけど、泣いてるように見えた。