不良様と生徒会長様!
「離れないでよ〜。やっぱり、貴方を奥さんから奪いたいわ。」
「…は…?」
唇に重なった女の唇。臭い香水が匂いむせそうになる。慌てて女から離れると、視界の隅に呆然と立ちつくす律の姿が見えた。
「り、律…。」
「あ、奥さんですかぁ〜?私、花奈っていいます〜。今日はこの辺で失礼しますけど、八神さんは私が貰いますねぇ〜♡」
そう言ってニヤニヤ笑い去っていった女。僕は、唇をゴシゴシと服で拭きながら律に近づく。すると、律は僕から1歩離れて笑い始めた。
「あはは…、悪い。邪魔しちゃったな〜。」
「は?何言ってんの…?アレはアイツが勝手に…。」
「触んなっ!!」
伸ばした手を振り払われる。律の目は冷たくて僕を軽蔑したような目をしている。ジンジンと痛む手。僕の心は一気に壊れた気がした。
「…私、忘れ物取りに来ただけだから。」
僕の隣を通り過ぎ家の中に入る律。僕は、振り払われた手を見つめながら中に入り律紀の元に向かった。律紀を抱いて今にも泣きそうな律。
「…私、暫く帰らないから。律紀のこと頼んだ。」
「律…!僕はあんな奴となんの関係もないし、キスしたのだってアイツが勝手に…!」
「最近、新が寂しがってたの知ってた。だから、私みたいな奴じゃなくて一緒に居てくれる人の方が良いと思う…。」