【空色の未来[海色の過去]】


うーん…

もうそろそろ起きないとさすがにヤバイ



「起きたか」




心地良いボイスが耳に届きそれが凪のものだって容易にわかった。



「はよ」



「おはよ、凪」




この場面今朝も似たような事あったよね



ひとつ違うのは狼牙じゃなく凪ってことだけどべつに良い




「凪…担任誰?」



「葵だ」



「そ」




「驚かねえの?」




「何となく気配で…」





やっぱりばれてたか…とでも言うかのように葵がドアから入ってきた




「久しぶりだな、美緒」



「うん、久しぶり」




「凄え軽いな…」





「そう?」





ハアー…




大袈裟なくらい溜め息つかないでよ






「もう行く」




「ああ、担任は葵だ教室まで連れていってもらえ」




「うん」






「あと…」







凪が言いずらそうに苦渋な顔を浮かべながら何かを言おうとしてる






「どうしたの?」







私は真っ直ぐ凪の目を見て待っていた










「お前のクラスにはあの連中がいる」




「知ってる」




凪はふと驚いた顔をみせたが直ぐに理解した




「平気か?」







凪は優しいから私に
「辛くないか?」じゃなく「平気か?」と言ってくれる。




今も凪は私を守ろうとしてる





だけど私は大丈夫だから
怖くないって言うのは嘘だけど


やっぱり向き合わないといけないから





「平気」





一言そう告げ理事長室から出た




理事長室では凪が念入りに葵に注意深く見張ってろなど、連絡しろなど言われてたのを私は何となくわかってた。




そんなことしなくても大丈夫なのに…




私はもう姫じゃないのに…





理事長室から慌てた様子で葵が出てきて一緒にクラスに向かった


葵は聞きたいことが一杯あるはずなのに「お前が戻ってきただけで十分」そう言ってそれ以上は何も聞いてこなかった



葵も昔と変わらず優しいね





多分何を言われても答えられる範囲はとても小さいから少し助かったよ



あとまだ言いたくないから






私は二人の不器用でも暖かい気遣いに葵にばれないように泣いた…





だけど、葵は私が泣いてるのに気がついてたから黙って隣で歩いてくれた…





< 3 / 35 >

この作品をシェア

pagetop